完全再現RPG

まずは部屋にかかっている鍵を外すところから全ては始まる。父や母が手を出すことは許さない。僕は僕のタイミングで鍵を外し、扉を開けて部屋の外に飛び出す。

 

部屋から出るとまず真っ先に食卓を確認。ふむふむ今日のお昼はスパゲッティか。僕の大好物だ。これは楽しみ。だけどもうちょっと様子を見る。大好物だからといってすぐに飛びついてしまってはダメだ。そんな事をしてしまったらもうスパゲッティは食卓に並ばないかもしれない。心は躍らせつつもそれを父や母に悟られないよう素っ気ない素振りをして見せる。

 

さて、そろそろ機は熟しただろうか。意を決して洗面所に向かう。おっと、廊下の明かりが点いていないじゃないか。薄暗いのはどうも苦手だ。僕は4つあるスイッチの右下を丁寧に押して明かりを点けた。

 

洗面所には既に踏み台が設置してあるが、ここでも少しだけ寄り道をしてみる。そう、風呂場だ。風呂場の奥にはガス給湯器のリモコンがある。やはりモニターが暗い。電源ボタンと優先ボタンを押して…と。うん、これでヨシ!

 

さて、風呂場のドアを閉めたらいよいよ踏み台に登って手洗いの始まりだ。まずは三面鏡の左右の鏡の位置を調整。続いて洗面台の明かりを点灯。そして水を出してじゃぶじゃぶ…と、なにーっ!!!洗濯機の蓋が開きっぱなしじゃないか!!これじゃあ落ち着いて手を洗えない!!もー!誰だこの蓋開けといたやつは!!僕は急いで踏み台から降りて台をずらし、ずらした踏み台に乗って洗濯機の蓋を閉めた。ふぅ…やれやれ、やっと落ち着いて手が洗えるわ。

 

再び洗面台の前に戻った僕はレバーを捻り水を出した。泡石鹸のポンプを押して数字の8を描くように左手に泡の塊を配置。親指を洗って手の甲を洗って、、、流す。お気に入りのタオルで両手を拭いたら手洗いはおしまいだ。さて、食卓に向かうとするか。

 

キッチンに入ってまず確認するのは炊飯器の蓋。これも洗濯機と同様に開きっぱなしになっていることが多い。僕は閉められるものが開いているのは許せない。ふぅ、どうやら今日はきちんと閉められてるっぽいな。よしよし。さていよいよ最後の強敵、キッチンにある給湯器のリモコンだ。電源を押すと…『41』か…僕はこれが『40』になってないと落ち着いて飯を食べることができないんだ。慎重に電源を落として、えっと…このボタンだったかな?そしてもう一度電源ボタンを押せば…よし、『40』になってる。今日も無事にゲームクリア。やっとスパゲッティを食べられるぞ!

 

いっただっきまーっす♪

 

 

 

 

 

 

 

 

ぎ…牛乳は僕にタイミングで頼むから食卓には置かないでっていったでしょーがっ!!